部屋とワイシャツとたわし

オタクじゃない人の活動日記

空の青さを知る人よ感想(ネタバレあり)

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冴えカノ見にいくついでに見てきました。

全然話題になってないというか、少なくとも僕の知ってる範囲の人で見てる人がかなり少なかったのと、正直PVの時点ではそこまで惹かれなかったのであんまり期待はしてませんでした。

ただ数少ない感想ツイートでは評価が高かったので一応見てみるか的な。

 

で、見た感想としては、はっきり言ってめちゃくちゃ良かったです。

だからネタバレするというか本編の内容に触れずに感想書くの無理なんで見れる人は先に自分で見てきてくれ。

 

 

 

では…

まず、話の中身としてはそんなに特別すごいストーリーってわけじゃないと思う。もちろん面白いのは事実だけど。

 

音楽でやっていく夢を見て田舎から東京に出て、社会の厳しさを知ってやさぐれたオッサンが過去の自分に励まされる話(しんの・慎之介)

その男について行かずに田舎に残って片想い引きずってる女の話(あかね)

その妹が姉の片想い相手の若い頃の方に片想いする話(あおい)

 

が同時展開される感じ。

でもこの物語の核心としては「あかねの何にも負けないあおいに対する姉妹愛」だったんじゃないかなと。

 

で、内容的にはこの3人(4人)が全員主人公みたいな感じなんだろうけど、普通に見てたら基本的にあおい視点だし、あおいの心理描写が圧倒的に多いので一応あおいが主人公って感じだった。クレジットの一番上は慎之介だったと思うけど。

 

そう考えると、あおいは主人公であり負けヒロインであるなかなか珍しい僕好みのヒロインでは?

 

というか大筋の流れが慎之介とあかねが再会して結婚してって話で、それをくっつけるようにあおいが動いてたので、メインは慎之介とあかねの話なんだろうな。

 

そう改めて考えると、この作品の好き嫌いが分かれそうなところなんだよなここは。

 

本筋は慎之介とあかねの恋愛なのにあかねの心理描写の数が圧倒的に少ない。割と最後まで何考えてるか分かりづらいというか。なんだろう、あかねは感情表現があまり大きくない、と言えばいいのかな。

一応心理描写はあるんだけど、台詞では直接的な表現はないし、表情や行動も細かく描写されてるんだけど結構難しい。でもかなり繊細に描かれてるとは思う。

 

オッサンになった慎之介の描写もあんまりないけど、それは若いしんのが補ってる感じはある。とはいえ、何が上手くいかなかったかとかそこら辺掘り下げが欲しかったところはある。

 

逆にあおいは描写も多いしわかりやすい。圧倒的主人公感。よく泣くしよく叫ぶしよく走る、よくある岡田麻里系女子高生。

 

つまり、作品の本来の主人公は慎之介・しんのでメインヒロインがあかねなのに、サブヒロインのあおいに焦点を当てて描かれてるという風にも考えられる。

確かにこう考えると分かりづらくて好き嫌い分かれそう。僕はこういうの好きだけど。

まあ確かにモヤッとするところだろうな。

 

でもこれは「慎之介(しんの)とあかねの恋愛」と「あかねとあおいの姉妹愛」を対比させてるところでもあるのかなと。

ツナマヨじゃ昆布には勝てない」ってことからもわかるように、あかねの中ではずっと「あおい>慎之介(しんの)」だった。

これがラストでは「久しぶりに作ってみようかツナマヨおにぎり(台詞うろ覚え)」になって、エンドロールの1枚絵になる…

もう一つはあかねが作ってた「あおいの攻略ノート」あれは泣く。

こういう「あかねのあおいに対する想い」を表現する方法としてあおい視点でやったんだなぁと。

 

 

あれ、好きとか言いながら文句も多くね?

 

ということで、文句ついでにもう少し欲しかったところを書いておくと、やはり最後の締めかなと。せっかくあおい視点でやってきてて、ベース練習して、慎之介と一緒のバックバンドで演奏することになってたのに、肝心のライブシーンが無ぇんだわ…

あおいの失恋ENDで締めてEDの中で1枚ずつ止め絵でエピローグやるのは、それはそれでエモくてとてもいい演出だと思うけど、ライブの部分までやってから、あおいがけじめをつけて一歩踏み出すところまではやって欲しかった。じゃなきゃただの負けヒロインなんだよ本当に。

最後の最後であおいはしんのを諦めて前に進む感じになったんだから、ちゃんと慎之介とライブしてけじめつけて、それから新しい目標だったり、やりたいことだったりを決めるところまでやって欲しかったな。せっかくあおい視点だったんだから。(何回目だよ)

せめてどこかで慎之介とあおいがちゃんと仲直りして欲しかった。もう一回、今度は慎之介の方から「目玉スター」って言って欲しかった。

 

と、まあ出そうと思えば他にも「ヘイトの塊でしかない演歌歌手」とか「交通事故で両親2人とも死んで兄弟だけの暮らしになるインスタント不幸家族設定」とか色々文句は出てくるけど、そこまで言い出すとどうしようもないというか理不尽クレーマーになりそうだからやめる。

 

じゃあ好きだったところ

・キャラがいい

あおいは顔がもう負けヒロイン。

若いしんのは熱くて情熱的で、主人公って感じ。青春してる。

ヤサグレた慎之介は渋い雰囲気の良さと、不器用な感じが良い。芯の部分はやっぱり若い頃から変わってないのが後半特にエモい。

あかねは一番何考えてるか分かりづらいけど、表情が色々あったりリアクションも様々で心情描写が細かい。優しさと包容力の化身。芯は強くて純粋。俺と結婚してくれ。

千佳はCV種崎敦美

 

・セリフがエモい

特に後半の慎之介としんのが対面したときのやりとりが本当に好き。特にしんのの「将来お前になってもいいかもしんねぇって思わせてくれよ」あたりのシーンのセリフは全部心に響いたぜ…

 

・演出と挿入歌がいい

先ほども書いたように、あえてあおい視点で物語を進めるところ。姉から妹に対する愛情を、姉視点ではなく妹視点で感じることができる。これによってあかねのあおいに対する想いがより一層強く伝わったんじゃないかと思います。

 

好きなシーンとしては、しんのをお堂から引っ張り出す時のアレが好き。ギターの弦が張って、切れて、しんのが飛び出して、劇中歌の「空の青さを知る人よ」がかかって、空を飛んで…あのシーンの前後の一連の流れはマジで好きでした。

若くて、やりたいことに突っ走れるしんのは空を飛んであかねの元に駆けつける。

それに対して、大人になって現実がわかってしまった慎之介は泥臭く、みっともなく、かっこ悪く地面を走るしかない。それでもあかねに対する気持ちは変わらず、走り続けてあかねの元に駆けつけた慎之介に感動しました。

そして慎之介が前に進むために切り離して置いていったしんのも取り戻して、みんな前に進んで…めっちゃ好きなんだよなぁこういう展開。映画館じゃなかったら号泣してたし、実際涙は我慢できなかった。(人のいるところで泣くの恥ずかしいからできるだけ泣きたくないんだよね)

 

 

「慎之介とあかねの恋愛」っていう大筋のストーリーを、あえて視点をずらして、あおい視点で描くことによって「恋愛と姉妹愛」の対比だったり「大人と子供」の対比だったり「過去と未来」の対比だったり、いろんな要素をまとめて表現されていた上手い作品だったんじゃないかなと思います。

 

 

はい、いつも通り文章力皆無の感想文になってしまいましたが…まぁツイッターで書くのと同じ気分で書いてるから。

もう一回見たいな。今度は家でじっくりと。そして思いっきり涙流したい。2回目で泣けるかは知らんけど。

ていうか普通に見てくれみんな!ツイッターでもそんなに感想ツイート多くないし!

公開時期さえ悪くなければ、個人的には天気の子に並べるくらいは良かったと思うんだけどな。

まだ見てない人はとりあえず見て本当に!!

以上、こんな感じでダラダラ長く書いてしまいました。では。